避難器具とは

避難器具とは火災発生の際に使用されるものです。

本来はこれで在館者(消防関係法令では収容人員といいます。)全員を避難させるものではありません。例えば就寝中等で火災の発生に気付かなかった方等逃げ遅れた方にご利用いただくべきものです。通常は階段で避難していただきたいのですが、近年の火災はその発生原因として「放火」と「放火の疑い」が無視できない割合を占めています。こうした場合に、所謂失火の類ではまず燃えないところから火と煙が生じます。こうなると階段が使えなくなり、避難器具をご利用いただくことになります。

もちろんこのような状況で使われる避難器具ですから、その材質、強度、設置、維持等関係諸法令によって厳しく条件が定められています。当社製品はこの厳しい基準をクリアして、皆様のもとへお届けしています。

尚、現在避難器具はその規格により次の8種類に分類されます。

1. 避難ロープ 上端部を固定しつり下げたロープを使用し降下するものをいいます。 最も簡便な避難器具です。
2. 滑り棒 垂直に固定した棒を滑り降りるものをいいます。映画「ゴーストバスターズ」でも有名です。
3. 避難はしご 縦棒と横桟で構成される所謂「はしご」です。金属製と金属製以外のものがあり、それぞれ、固定はしご、立てかけはしご、つり下げはしご、ハッチ用つり下げはしご(金属製に限る)に分類されます。
4. 滑り台 勾配のある直線状又はらせん状の固定された滑り面を滑り降りるものをいいます。使い易さではこれに勝るものはありません。その代わり、費用についても、これに勝るものはありません。
5. 避難用タラップ 階段状のもので、使用の際、手すりを用いるものをいいます。タラップとはオランダ語の trap(階段)が語源と言われています。
6. 緩降機 使用者が他人の力を借りずに自重により自動的に連続交互に降下することができる機構を有するものをいい、常時取り付け具に固定されて使用する固定式と、使用時に取り付け具に取付られて使用する可搬式があります。井戸の釣瓶の動きを思い浮かべていただければ当たらずといえども遠からずです。
7. 救助袋 使用の際、垂直又は斜めに展長し、袋本体の内部を滑り降りるものをいいます。学校の避難訓練等でお馴染みかもしれません。
8. 避難橋 建築物相互を連絡する橋状のものをいいます。隣接する建築物がほぼ同じ高さであること(屋上に設置します。)や建築物の所有者同士が互いに設置を了解しなければなりません。(5)の避難タラップと同様あまり見かけない避難器具です。