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建設業法(昭和二十四年五月二十四日法律第百号;最終改正:平成二四年八月一日法律第五三号)第二十六条に「建設業者は、その請け負つた建設工事を施工するときは、当該建設工事に関し第七条第二号イ、ロ又はハに該当する者で当該工事現場における建設工事の施工の技術上の管理をつかさどるもの(以下「主任技術者」という。)を置かなければならない。」とあります。要は現場の施工上、技術上の管理者ということです。労働安全衛生については職長・安全衛生責任者が対応します。
では上記の「第七条第二号イ、ロ又はハに該当する者」とはどういう者なのかというはなしです。第七条は建設業許可を出すための要件が定められています。その第二号においては営業所に置くべき専任のもの(営業拠点としての主任技術者)についての規定がなされていますが、それを工事現場の主任技術者にも適用しますというはなしです。条文自体は次のように記されています。
ではハの具体的な内容は法令のどこに記されているのでしょうか。建設業法施行規則(昭和二十四年七月二十八日建設省令第十四号;最終改正:平成二五年二月一三日国土交通省令第四号)には
第七条の三
法第七条第二号ハの規定により、同号イ又はロに掲げる者と同等以上の知識及び技術又は技能を有するものとして国土交通大臣が認定する者は、次に掲げる者とする。
表一部略
消防施設工事業 | 消;防法(昭和二十三年法律第百八十六号)第十七条の七第一項の規定による甲種消防設備士免状又は乙種消防設備士免状の交付を受けた者 |
表一部略
とあります。そう、この条文こそが「消防施設工事業の主任技術者は消防設備士である」ことの根拠なのです。この免状があれば主任技術者の実務経歴書を省略できることになります。
ここでは消防設備士の制度をみながらその役割を見ていきます。
昭和37(1962)年に東京都火災予防条例で消防設備士制度が制定されました。昭和39(1964)年まで東京都の制度として行われました。翌年より国でも検討され始め、昭和41(1966)年から国家資格としてリスタートしました。以来制度として半世紀を超える歴史を有しています。
まず大きく甲種と乙種に分けられます。甲種は工事、整備、点検が、乙種は整備、点検ができます。甲種は受験資格が必要ですが、乙種は必要ありません。工事ができるかどうかが一番の違いです。これに伴い甲種消防設備士には工事整備対象設備等着工届を工事に着手しようとする10日前までに所轄消防機関に提出する義務があります。また、甲乙共に各類に別れています。甲種が特類と1類から5類まで、乙種が1類から7類までとなっています。具体的な内容をみてみましょう。
法第17条の12では消防設備士の責務について定められています。「消防設備士は、その業務を誠実に行い、工事整備対象設備等の質の向上に努めなければならない。」 この規定ではいざというときに設備がその力を余すことなく発揮できるよう努める義務を定めています。工事整備対象設備等の工事又は整備が基準に適合しなかった場合、業務を誠実に行わなかったものとして免状返納命令の対象となる場合があります。
消防法第17条には消防用設備等の設置及び維持に関する基本原則が規定されています。ここでは避難器具・消火器具等がそもそもどういうことで設置されているのかということを見ていきます。
ただし、以下の文は法令そのものの文面ではありません。分かりやすさを優先しておりますので予めご了承ください。必要がある方は官報等の信頼できる情報源にてご自身でお確かめ願います。
消防法第17条第1項では、消防法施行令別表第一に定める防火対象物の関係者は、政令で定める消防用設備等について消火、避難、その他の消防の活動のために必要とされる性能を有するように、政令で定める技術上の基準に従って、設置し、及び維持しなければならないとしています。いってみれば作為義務を定めたものですので、未設置や一部未設置だけでなく、設置されていたとしても技術基準に適合していなければ(例えば失効品等が存置されていたら)、本条違反ということになります。防火対象物とは、「山林又は舟車、船きょもしくはふ頭に繋留された船舶、建築物その他の工作物若しくはこれらに属する物」をいいます。
避難器具にあっては「戸建て住宅以外の建築物」の意味に取っていただいても一般的には問題ないでしょう。関係者とは所有者、管理者、占有者をいいます。マンションを例に取ると、所有者とはマンションのオーナーがこれにあたります。管理者とは管理組合や管理会社がこれにあたります。占有者とは各部屋の住人がこれにあたります。念のため申し添えますと、競売物件などに居座る不法占拠者もこれに含まれます。消防用設備等とは消防の用に供する設備、消防用水、消火活動上必要な施設の三つに大別されます。消防の用に供する設備は、消火設備、警報設備、避難設備の三つに分けられます。火災の際に自動で作動する物と一般人が自分で使う物があり、前者はスプリンクラーや自動火災報知設備が、後者は屋内消火栓や避難器具、消火器具といったものがこれにあたります。消防用水は防火水槽又はこれに代わる貯水池等です。消火活動上必要な施設は消防隊や消防団が使用する物で、排煙設備、連結送水管、連結散水設備、非常コンセント設備、無線通信補助設備がこれにあたります。
消防法第17条第2項では、市町村の火災予防条例で法定基準の強化が認められています。言い換えると基準を下回る規定は認められません。この市町村の条例基準に違反した場合も法第17条第1項に違反したということになります。東京の場合は東京都火災予防条例がこれにあたります。また、東京消防庁は稲城市、島しょ地域を除く東京都の消防事務を受託しています。
消防法第17条第1項を受けて、消防法施行令第29条の4では所謂仕様規定に当てはまらない設備について規定しています。消防法とその関係法令が制定されてから年数が経過し、その間にいろいろな知見が蓄積されてきました。その成果を設備に反映させることで、従前の仕様規定以外にも客観的検証法による設備が誕生してきました。これを必要とされる防火安全性能を有する消防の用に供する設備等といいます。例を挙げると共同住宅用自動火災報知設備や、パッケージ型自動消火設備等がこれにあたります。
消防法第17条第3項には従前の消防用設備等以外についても規定されています。ここでは特殊消防用設備等がそもそもどういうことで設置されているのかということを見ていきます。
ただし、以下の文は法令そのものの文面ではありません。分かりやすさを優先しておりますので予めご了承ください。必要がある方は官報等の信頼できる情報源にてご自身でお確かめ願います。
消防法第17条第3項では、本来設置及び維持しなければならない消防用設備等と同等以上の性能を有し、かつ、設備等設置維持計画に従って設置及び維持するものとして、総務大臣の認定を受けたものであれば、本来の消防用設備等に代えて特殊消防用設備等を用いることができるとされています。建築物が多様化する現状において従来の仕様規定型の消防用設備等だけでは対応しきれないところが出てまいりました。そこで仕様ではなく性能を評価するという形での対応がなされることになりました。これが特殊消防用設備等であり、個別の案件毎に認定を受けることになります。